12.小町山自然遊歩道便り

●小町山自然遊歩道の今(2023年3月15日 現在)をお知らせします●

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☆小町山自然遊歩道便り

 このコーナーでは、小町山自然遊歩道の今をお知らせしています。

 3月12日に、小町山自然遊歩道の一番早く雪がとけるところに「フクジュソウ」が咲きました。
 この場所は毎年一番先に雪がきえ、一番最初にフクジュソウが咲きます。だから、数日前から、毎日見ていたのですが、やっと咲いたようです。
 その写真は、フロントページに載せましたが、ここに載せたのは3月14日に咲いたものです。というのは、13日は雨降りだったので、花はしっかりと閉じていて、じっと日が差すのを待っていたかのようです。
 また、アズマシャクナゲの枝先も雪から顔を出し始めました。前回も書いたのですが、このときに寒さが戻ってくると植物に大きなダメージを与えます。というのも、今まで雪の下で寒さから守られていたのが、一時の暖かさで雪がとけ、顔を出した途端、冬の寒さをまともに与えられるからです。
 これは、今まで親たちに護られてぬくぬくと育てられてきた子どもたちが、その温室から外に出るときと同じです。ただ、植物の違うところは、一枝が寒さでダメージを受けても、他の枝が助かれば、また新しい芽を出して伸び出すことができるからです。
 これは、昨年、北海道の大雪山に登ったときにも経験しましたが、キバナシャクナゲはいっせいに花開かないのです。なぜかというと、そのときに強烈な寒さや雪が降れば、全部の花がダメになってしまい、花がなくなれば、種子も実りません。
 だから、あちこち様子をみながら花開くので、その花がためになっても次の花が、さらにそれがダメになってもその次の花に種子が着けばいいわけです。いわば、花にも保険をかけているような感じです。
 このキバナシャクナゲたちを見ながら、人間も、たった1つのことで気落ちをしたり、楽しくなったりするのも、考えものだと思いました。
 来月になれば、いろいろな植物たちが咲き始めると思います。1年で一番楽しい時期です。

 (今回の写真は、3月14日に撮影しました。)


小野川温泉と吾妻山

小町山自然遊歩道

リョウブの枝先

アズマシャクナゲの花芽

雪解け水

フクジュソウ

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※小さな花々も大切に!

 草木にも人間と同じ生命があります。一粒のタネが地面に落ち、やがて季節が来て芽生え、成長し、花開き、実を結び、そしてついには枯れて土に戻っていきます。このすばらしい自然の環を大切にしなければならないと思います。まさに人をいたわると同じ気持ちで……。
 そして、植物と仲良くなるには、先ず植物の名前を覚えることです。名前は単なる符牒にすぎないという人もおりますが、その背景には、必ず人間との深い関わり合いがあり、結構面白いものです。ある文人は、「植物名は、短い形式の文学だ」といいましたが、私も全くその通りだと思います。

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☆小町山自然遊歩道について

 小町山自然遊歩道は、昭和59年より作りはじめ、今現在も仕事の合間をみて作業を続けています。植裁の中心は、なんといっても石楠花(シャクナゲ)で、日本ツツジ・シャクナゲ協会を初めとする全国各地の愛好者による献木が多く、日本や世界のシャクナゲなど370種類、6,000本が植えられています。そして、300種類をこす山野草も、なるべく自然のままに植付けられており、いつでも楽しめます。
 ここには、まだ非公開ですが、私が世界各地より収集したシャクナゲの原種を植え込んだ「The Rhododendrons Species Section」があり、この充実にもつとめています。

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